ちょス飯の映画評

サウンド・オブ・ミュージック』  ★★★★☆

名画と言われているが、62歳になって初めて観た。ミュージカル映画というものなのだろうか。

主人公マリアがどういうわけで、修道尼になろうとしたのか、七人のこどもたちがどうして、こうもすんなり彼女を受け入れられたのか。それは、観客が想像すればよいのだろうか。もう少し描いてほしかったので、マイナス1星。

歌は良いな。マリア役のジュディー・アンドリュースの美声、素直な演技。痩せっぽちの身体。対する男爵夫人のあざとい美貌。グラマラスな肢体。低いどすの利いた声。

冷血漢となっていた、退役軍人トラップ大佐の心が、マリアの歌声とこどもたちの合唱で溶かされていく。

マリアの暮らした修道院の尼さんたちも、マリアが還俗して結婚することを反対せず、鉄柵の向こうから、二人の結婚式を見守るシーンは面白おかしかった。

どの曲も、今も歌い継がれる名曲ばかり。意外だったのは、「私の好きなもの」が辛いときや恐怖に耐えるときに口ずさんで、心を落ち着かせるという曲だったこと確かに、かなしい曲想だが、とてもロマンチックな響きだから、そういう意図の歌だとは思わなかった。

長女の恋人が、オーストリアから亡命しようとするトラップ一家を見つけたとき、ナチスに命令されたとおり彼らを捕まえようとした場面は、胸が痛んだ。これが、戦争。植民地支配されるということなのだ。だから、この映画は反戦映画といえる。