ちょス飯の讀書日記

望月衣塑子著『武器輸出と日本企業』 角川新書 2016年刊  ★★★★☆

折しも、幕張メッセで11月18日から20日まで武器見本市が開催されている。これは、毎年ロンドンで開かれているのだが。

まさか、日本が武器を世界に輸出しており、軍需産業で経済が活性化するという考えの方々が、おられるとは。知らなかった。

武器輸出は憲法で禁止されているとばかり思っていた。

歴代の総理大臣が、輸出を規制する三原則を少しづつ替えて行き、いよいよ安倍総理は日本国内で見本市を開けるまでになったのだ。戦後から今までの変遷が、わかりやすく書かれている。

官房長官と丁々発止でやりあった望月衣塑子。

彼女は、自分たちの作った部品が武器になることについて、大手だけではなく中小企業、末端従事者にも粘り強く、インタビューをしている。

また、大学の研究が軍事目的につながるものなら、国から予算を出すという一文には、恐ろしくなった。確かに、科学は歴史的に見ても、国策「人殺しの研究」=戦争に勝つためにするものでもあった。

防衛と戦争は同じこと。防衛のための武器とは、殺戮兵器を指す。

日本製の武器兵器が、サウジアラビアに買われて、イエメンのこどもたちを爆撃していると、衣塑子記者は講演会で語っていた。背筋がゾーッとなった。

自国の安全を守るために、武器を造るだけではなく、他国に戦争の道具を売って儲けるのは、「死の商人」に他ならない。

中村則文氏は、著作の中で大金持ちが武器を敵対する国両方に売って、戦うところを見て喜ぶという場面を描いていた。石ノ森章太郎先生も、『サイボーグ009』の中に死の商人を描き、ブラックゴーストという悪の親玉が「人の心の中の悪がある限り、戦争はなくならない」と断言している。

幕張メッセの武器見本市会場前には、市民有志がこれに反対する抗議活動をしているという。