ちょス飯の読書日記

澤地久枝著 『十四歳』 集英社新書 2015年刊  ★★☆☆☆

川崎で中学生の少年が惨殺された事件に心を痛めた著者。自分が14歳だった当時のことを、孫に孫世代に語り伝えなければと、書いた。

澤地は、父が満鉄職員だったので終戦翌年まで満州で過ごした。物心ついた頃から満州で軍国少女として暮らした。回想記。

事実だけの羅列は、あまり面白くないので、なかなか読み進めなかった。しかし、現地に住んでいたものだけが知る、事実は多く、興味深かった。

満州に開拓団として渡った人たちと満鉄社員家族は、一線を画している。まだましな暮らしだった事がわかる。

いかに、国は底辺の民を騙すか、利用するかよく分かる。

また、戦勝国側が、非道極悪の限りを敗戦国側の非戦闘員になすのは、当然とされたのだろうか。略奪や殺戮、レイプ。・・・・・・幸い、澤地氏は抵抗することができたが。

戦争が終わると、翌日からぱっと教育が変わるという。鬼畜と呼んでいたのに一転、「アメリカ様様」に従えと。どうやって、教師たちは、大人たちは折り合いをつけたのだろうか。

当時の少年少女の驚きは計り知れない。大人への不信感を、甚だしくつのらせたことだろう。

自決した大人たちも多かったそうだ。しかし、一方で、のうのうとお上に従うことが、正義だからと平然とアメリカに従った人のほうが、大多数だったのだろう。面従腹背

澤地氏は、未だに毎月国会前にデモに行くという。「安部政権を許さない」と。戦争は二度としてはならない、身を持って彼女は体験した。御年89歳。決して頑健なお体でもないのに、頭が下がる。