京都アニメーション放火殺人事件

718日、京都アニメ-ション第1スタジオが放火され、68名の社員が死傷。うち、35名が焼死するという大惨事がひとりの男の妄想によって引き起こされた。

 容疑者、青葉真司(41)自身も大やけどで入院中。意識が回復してきたとのことだが、まだ重篤な状態で、取り調べは進まないようだ。彼は、ガソリンをぶちまけて、火をつければたとえ、チャッカマンの長さがあろうとも、自分も燃えてしまうということを知らなかったのだろう。

 あまりに唐突で残虐極まりないこの事件に、衝撃を受けた。

 それにしてもこの男が、「京都アニメ-ション」の何にそれほどの憎悪を煮えたぎらせたのか。何故、犯行の準備段階のときに、彼を止められなかったのだろうかと、無念でならない。

 被害者とそのご家族、御遺族の怒りと悲しみ、悔しさは彼を八つ裂きにしたとしても、決して晴れないだろう。私が遺族なら、絞首刑では生ぬるい。火あぶりの刑を望む。

 ――報道によれば、彼の生い立ちは非常に悲惨だ。幼い頃に両親が離婚、父親に育てられるが生活は困窮、中学時代にはいじめにあい、不登校、ゲ-ムをして過ごしていたという。夜間高校を出て就職するが、長続きしない。孤立を深め、精神を病み、やがて凶暴化していった。そして、彼の脳内世界で彼は作家となる。だが、自分の書いた素晴らしい小説を、京都アニメ-ションに盗まれ無断で作品化されたことを許せず、怒りを膨らませて、遂にこの悪魔の所業に及んだのだろう。と、彼の犯行理由を私は推測する。

 この日も、スタジオ内では彼のように、現実世界に絶望しているものにエ-ルを送るアニメが制作されていたことだろう。彼らは「京アニブランド」の社員として、プライドを持って一所懸命、絵筆を動かしていたに違いない。

 紙上の絵に命を吹き込む仕事をしていた人たちが、突然の業火に焼かれ、一瞬にして絶命させられてしまった。救出されて治療を受けている人々は、たとえ、やけどの傷が治ったとしても、心の傷は癒やされない。仲間が35人も焼死したことを、どうやって受忍していかれるだろう、・・・。想像を絶する苦悩を、彼らは背負って生きていかねばならなくなった。  

 被害者の皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたい。

 ただ・・・私には今回の「襲撃」の準備が、青葉容疑者の中学時代から始まっていると思えてならない。学校でいじめられ、傷つけられた彼の心は、回復できず、やがて壊れていったのではないかと。どうか、その当時に彼をいじめた人たちは、猛省してほしい。そのときひとりでも、彼に友人がいれば。その後に、愛情を持って付き添ってくれる大人と出会えていれば。もし、彼を愛してくれる人の存在があれば、この犯罪を防げたのではないかと思えてならないのだ。私のこの考えは、chosuと一致した。被疑者には精神科への通院歴や犯罪歴、更生施設での生活経験があり、生活保護を受給していたというが、行政側は生活費を渡すだけではなく、もっと彼に応じた医療と福祉のケアを親身になってするべきであったと思う。

 chosuの会社の先輩方の中には、京アニ作品の熱烈なファンが多く、皆この事件の続報が辛くて見られないという。

 事件の続報では、青葉容疑者は確かに京アニの小説コンテストに応募していたようだ。落選だったそうだが、・・・。パクられた内容ではないようだ。やはり、彼には被害妄想があったのだろう。

 惜しむらくは、公園に寝泊まりしていた時点で、何故職務質問を警察はしなかったのか。ガソリンを堂々と運んでいる姿に、周囲は危険を察知できなかったのか。監視社会では、人権侵害がまかり通るかもしれないが、アニメ『サイコパス』のように、未来は犯罪を犯しそうな人を前もって捕まえるときが来るかも知れない。