ちょス飯の読書日記

  『ロンリネス』★☆☆☆☆  桐野夏生著  2018年 光文社刊

順番を待って、やっと図書館から借りて読んだ。一気に読み終えたが、これが桐野の作品だろうかと肩透かしをくった。

テレビドラマで『砂の塔』を見て、タワーマンションの住人たちのセレブっぽい人対庶民の対決、幼児虐待、誘拐などが描かれていたサスペンスで、毎回面白かった・・・。しかし、同じタワマンが舞台でも、それとは全く違い、ずっと、内容の薄い大人の不倫がテーマだった。以前読んだ『ハピネス』の続編だと、随分読み進んでから気づいた。

確かに大恋愛で結婚したとしても、その相手を、一生愛し続けることは難しい。誰でも、今の相手より他人のご主人や奥さんのほうが素敵に見えることはあるだろう。そして、結婚後に生まれて初めて、本当の恋愛をしたとしたら・・・。

こどもと家庭を守るために、たいていの夫婦は互いの貞操を守る。これは、民法で決められている。しかし、既婚者である男性も女性も浮気は許されるとか、不倫するのは文化だという人もいる。

誰とでも、好きになったら寝る、というのはどうだろう。情熱のほとばしるままに家庭を壊してでも、不倫相手と突っ走るのは、かっこいいとも言えるが・・・。

chosu-manmaには絶対にできないし、pampaとは互いだけをみつめて夫婦生活をしてきた。

それにしても、主人公有紗と彼女の友人洋子が、とびぬけて美人であるというところが、やや不満だ。美しいから既婚者でも、男が放っておかないという設定は。

ヒロインは確かに美しいほうが、読者は喜ぶが。

また、奥さんの嫉妬が怖いから、見つからないように「寝ないで、心だけの結びつきで」付き合おうという、有紗の不倫相手の高梨。彼が本当に有紗を愛しているのか、ただ不倫のゲームを楽しんでいるのかは、最後までわからなかった。しかし、ヒロインは一線を超えた後で、彼とは別れようと決意しているところで物語は終わった。

いつも周りに合わせて生きていた有紗が、自分の心に素直に生きることを、選んだのだと思う。しかし、夫と娘を裏切るという罪悪感に耐えかねて、彼との不倫を解消する方を選んだのだろう。

リアルであるが、面白みに欠ける。つまらなかった。

一方、副主人公の美雨ママ(洋子)が不倫相手を略奪して、美雨を捨てて沖縄で彼と住むという一発逆転の展開には、驚いた。フランスでは、何度でも恋をしてその都度こどもを連れて、再婚したり、事実婚をしたりする人が多いという。それは、ごく当たり前だとされているという。だから、半弟とか半姉ということばもあるそうだ。