8月18日午前8時58分クロアゲハ羽化開始

食卓の上に転がしてあった蛹の中から、蝶がゆっくり出てきた。支えがないのでくるくる回りながら、必死に。6pチーズの丸い紙箱においておいたが、ペンキ屋さんが見つけて、ポイッとベランダに転がしてあったのを、chosu-pampaが発見してから、10日目のこと。

早く早く、皆見に来て。とchosu-manmamは叫んだ。chosuは、2008年の早春真夜中にナミアゲハの羽化の撮影に成功していたが、chosu-manmaとpampaにとっては60年余生きてきて初めて見る光景だった。撮影にも成功!

11年前2月に、わが父は80歳で亡くなったが、前年の秋に大規模修繕のためベランダを空にしなければならなかったので、植木鉢をどけたところ、8個もの蛹がくっついていた。すわ、大変だ。せっかく蛹まで育った君たちを、殺させるわけにはいかない。

そこで、多摩動物園の昆虫館へ電話してどうしたら、羽化まで無事に育てられるかと尋ねたのだった。すると、ゆっくり糸を剥がして、転がしておけば大丈夫ですよ、とのこと。

拍子抜けした。そっとそっとchosuは蛹たちをコンクリートの床や壁から剥がして、manmaと一緒に蛹マンションをボール箱で作り、ご飯つぶの糊でおしりを壁面にくっつけて、木綿糸を胴体に回し、元の形状で固定した。

ああ、あのときは嬉しかったなあ。毎日うかを楽しみにしていたら、なんと9頭とも無事に羽化してわが家から飛び立ったから。これは、奇跡とも言える。

ひと夏に数回羽化する彼女たちだが、全員が無事の年は滅多に無い。奇形だったり寄生されて、死んでしまったりするから。

ナミアゲハが8頭、最後から二番目の子はクロアゲハだった。このことは、私達を大いに喜ばせたが、父がくれた驚きのプレゼントのような気がしたものだ。

さて、今回毎日「無事に羽化して見せて」と家族中で祈っていたら、クロアゲハは蛹の中から見事に変身して出てきて、ゆっくりと翅を乾かして、わが家のベランダから飛び立って行った。家族3人で見守っていた。ほっと安堵。午前10:26。