ちょス飯の映画評
『グッバイ・レーニン』 ★★★★★
ドイツ映画はなかなか観られない。東西ドイツの壁が崩壊する前後の東ドイツ側の普通の人の暮らしぶりを知ることは、なかった。
社会体制が違うということは、どういうことか。国家が個人の自由を制限するのが、社会主義国だというが、実際に人々の心の中までは統率できないのではないか。と私は考えている。
西側へ亡命した夫に捨てられた妻は、その後、党のためのプロパガンダに協力して二人の子を育て、その功労表彰を受ける日に、息子がデモに巻き込まれて逮捕されるところに出くわし、心臓発作を起こして昏倒する。
奇跡的に一命を取り留めた母。しかし、彼女が意識不明で病床に就いていた間に、ベルリンの壁は崩壊。東ドイツの人々は、われ先に西側へなだれ込む。
母が目覚めたとき、この現実を知り再び心臓発作を起こすのではないか、と危惧した息子は母親に、倒れる前のままの東ドイツを再現しようとする。
そこで、東と西の違いがよく語られる仕掛けだ。しかし、最後は父親は家族を捨てたわけではなかった。彼からの手紙が隠してあったことがわかる。
母親に、本当のことがバレるのではないかとハラハラしたが、・・・。
国が分断され、また統一されるとはどういうことか。
東ドイツ出身のメルケル首相が、コロナ対策で手腕を発揮し、死者数を押さえている。
彼女は、苦しい時代を体験したことを、国民に語ったが東ドイツで良い体験もあったことだろう。
とても面白い、喜劇でもある。