ちょス飯のTV時評

外出禁止令のなか、夫婦で録画してあったものを毎日せっせと見ている。

1 ノイタミナ枠の「サイコパス3」  ★★★★☆

未来の日本では、社会が「シビュラシステム」化されて、犯罪が起きる前に色相が悪化している者たちを逮捕するとから、無犯罪で安全となる。はずが、これに対抗し、あるいは利用して人々をまるで将棋の駒のように操ろうとする輩が次々に出てくる。

日本なら安全だ、と外国から移民がやってくるが、彼らは差別と偏見の中で暮らさざるをえない。未来であっても一般人と区別する貧民街がある。ここは、犯罪の温床となるが、他の大多数の人々にとっては安全弁となって、機能しているという。

SFは、常に現在の社会の人々に対する皮肉や警鐘を表現しているものだが、実によくできている。作画もストーリーも。

しかし、過去を透視できる監視官がいるので、彼が初めから透視してしまえば物語は、すぐ完結してしまうので、ちとそこが変だ。いよいよのところで、真相がわかるという運びだが、・・・。故にマイナス1星。

また、キャラクターが皆かっこよすぎて、見分けがつかない。移民として描くならもう少し、外国人ぽい風貌にしてほしかった。

最終回で、非常に重要な人物が殺されてしまったが、この続きは映画で、というわけか。

映画は観に行きたいが、コロナ禍で行けなかった。上映も終了してしまったし。

 

面白いところは、ドミネーターという銃が容疑者の色相「犯罪係数」を測り、撃つか否かを決める場面だ。その使用者は、もともと潜在犯とみなされ、更生した人を選んでいる。何という、パラドックス

確かに、正義を振りかざす人には、怒りや憎しみの感情が不可欠だ。その負の環状が高まると「犯罪を犯しそうになる」のだ。

 

2どうぶつ王国    ★★★★★

4月17日 初めて、坂上忍の動物王国を観た。ザッピングしていたらたまたま犬が映ったので。彼が、犬を家族としてとても可愛がって育てていることを意外に思った。

9年前に、飼っていた「リク」という名の犬との出会いと別れ。クッキーと言う芸人のイラストも、とてもかわいいものだった。

生まれつき、病弱だったリクを必死に世話していたという。人間に対しては、毒舌を吐く坂上の、優しい面を知った。また、彼は病弱だったり不幸な目に遭ってきた犬たちを、積極的に引取り保護しているという。

彼は確か独身だが、良い人と是非めぐり逢って、家庭を持ちご自身の家族と一緒に、動物たちをかわいがってもらいたい。彼自身にも、あたたかい保護者が必要だ。

それにしても血便を垂らす犬と、一緒に眠って保護していたとは。泣けた。

短い一生だったが、リクはとても幸せだったと思う。

坂上氏は、緊急事態宣言の間の、自分のギャラを寄付することに決めたという。志の高い行いだ。

 

3グッド・ドクター  ★★★☆☆

主人公はサヴァン症候群自閉症の外科医。舞台はアメリカの救急病院。世界一のコロナ感染大国となってしまったアメリカだが、このドラマ内でも、未知の感染症による危機の巻があった。

患者を運んだ救急隊員が、すぐに感染して死亡してしまう。

ドラマの中では、掃除道具入れの部屋が陰圧室となっていて、そこに患者を入れるという場面が出てくる。

日本でも、現在CVID-19による医療崩壊が起きていると言われているが、・・・。どうか医療従事者の人々の安全を確保してほしい。

主人公は、とても優秀な記憶力と判断力、知能を備えているが、人とのコミュニケーションが取れない。トラブルも多く、パニックを起こすこともままある。しかし、彼の指摘によって、毎回死の淵から患者が助けられている。

こんなに、うまく難病が治るわけはない。絶望的な状況を見せておいて、水戸黄門の印籠のように、主人公が一件落着させる。観客は胸のすく思いだ。また、毎回複数の病人の経過が同時に語られるので、目まぐるしい。そして、必ず病気から透けて見える、アメリカ社会の病理も描かれる。解決はしない。しかし、はっとさせられる。

女性差別児童虐待、老人の孤独、・・・。重層になっている。

視聴者に、教養が必要だ。娯楽要素もあるが、これは心して観なければならない。