知人の変貌

「あなたにだけは、知っていてほしい」と知人Lから先日電話がかかってきた。彼は、親戚の伯母が亡くなったので、自分の母も兄もシブチンで香典を出さないだろうから俺が出すという。

しかし、以前伯母の存命中にお見舞金を彼が3万円も出しているので、「今回はお兄様かお母上に出してもらえば良いでしょうに」と答えた。

ところが、翌日「葬式もかよ」という表題でchosu-manmaにメールを送ってきたので、電話をしてみたら、兄上が「俺を半人前扱いする」と憤慨していて驚いた。つい前日は、「自分が出す、やつらは自腹を切るたまじゃない」と言っていたのに、出そうとしたら、兄上に反対されたからとキレているのだった。

Lは物忘れが激しい。前日は払いたくないが払った。次の日には、「払うな」と言われて「払わせろ」と怒っている。

彼は小さな会社の専務だったが、倒産して以来「俺が経営者だったら」と自分の転職先の上司たちがなっていないからと、ずっと立腹し続けているのだ。

だが、中小零細企業の倒産は日常茶飯事。少なくない社長たちが、転職先で真面目に働いていることだろう。働く労苦以外にも、我慢と忍耐の代価として給料が支払われるのだ。

どうして、我執から解き放たれないのだろう。

兄上はタクシー会社の一員となり、頑張って働いている。しかし、彼は母上も、兄上も憎くてたまらないぞうだ。

殺人事件は身内間が一番多いそうだが、一触即発。どうか、別居して暮らしたらどうなのか。何度、Lくんに勧めても、「親の世話をするのは、子の務めだ」と頑として聞き入れないのだった。

 

もしかしたら、若年性アルツハイマーを既に発症しているんおだろうか。Lは、親戚が来てもひきこもっていて、誰とも会話しようとしないそうだ。

彼の会話には「俺は、俺は半人前と思われているかもしれないが」と何度も繰り返すのだった。一度も、chosu-manmaは、そんなことを思ったことも言ったこともないのだが。

「お母上の世話をしているとは、偉いことですね」と言うと、「偉くない、当たり前のことだ」とまた激怒する。「嫌で嫌でしかたがないのだが」と。

一方、彼の母上は還暦近いLが独り身なので、心配している。「何も、世話をしてもらったことがない」という評価をしているのだった。