ちょス飯の映画評

ヒンデンブルグ』  ★★★★★  ネタバレ注意

ヒンデンブルク号は、マックス・ブルス船長の指揮のもと、ドイツ・フランクフルトを発ち(現地時間5月3日20時20分、アメリカ東部時間5月3日14時20分、日本時間5月4日4時20分)、2日半の大西洋横断後、現地時間(アメリカ東部時間)1937年5月6日19時25分(日本時間5月7日8時25分、ベルリン・フランクフルト時間5月7日1時25分)頃、アメリニューヨーク近郊のニュージャージー州マンチェスター・タウンシップのレイクハースト海軍航空基地着陸の際に、尾翼付近から突如爆発。ヒンデンブルク号は炎上しながら墜落し、乗員・乗客97人中35人と地上の作業員1名が死亡した。ウイキペディアより

 

事故の原因は、今も分からない。有力な説としては静電気による発火だとされるが、この映画では、ナチスに抵抗するグループのひとりの青年が、仕掛けた時限爆弾によるとしている。彼は、ヒンデンブルグを製造しており修理要員として乗り組んでいた。

飛行中、勇敢にも命がけで、外皮の破れを縫って直した。

私達観客は、ヒンデンブルグの爆発事故のことを知っている。だから、どうやってこの恐ろしい結末に向かうのかと、はらはらドキドキした。しかし、パニック映画ではない。乗客の一人ひとりには、それぞれの物語がある。その描き方も、おしゃれで、飛行船の中での、食事やピアノ・コンサート、ポーカーゲームの場面は、楽しかった。

ヒットラーの独裁政治体制のなかでも、反抗しようとするものや、金持などは必ずしも皆が心まで支配されていたのではなかった。

とくに、主人公は爆弾犯に共感をみせた。破壊するのは自分がするから、乗客乗員ひとりも死なせてはいけない、と。最後まで、諦めず皆を救おうとしたのだった。彼は、一人息子を、ゲシュタポのせいで亡くしたばかりでもあった。

 

遂に、爆発が起きる場面は、「どうやって撮影したのか。火だるまの人や、実物大のヒンデンブルグが燃え盛る様子を」と驚き、感心したが、なんとこれは実際のニュース映像だった。ラジオのアナウンサーが伝えているのも、そのまま使用しているのだという。これは犠牲者には申し訳ないが、後世の人々に大惨事を伝えられる貴重な資料となった。