もうすぐ咲くよ

5年前だっただろうか。杖をついて坂を登っていると、マンションのフェンスに、吊るされた植木鉢「セイロンベンケイソウ」に鈴生りの花が咲いていた。この名前は後に知った。

「初めて見ました。なんてキレイな、珍しい花でしょう」と管理人のおばさんに言うと、「すごく増えるよ、子株を上げましょう」と小さな株を分けてくれた。

季節は冬だった。そのまま外に置いていたら、枯れてしまった。

だが、しかし。

なんと彼女は死んでいなかった。

春になると、元気回復。そして、なんと珍しい葉から芽がじゃんじゃんと出てくる性質があることを、初めて知った。

この冬。

古い団地に転居して、日当たりが良かったからだろうか。時季が来たからだからか。

少しづつ蕾が膨らんで、今、下垂した花が6個開いてきた。薄桃色のラッパ。

 

「くれ」とは言わなかったのだが、おばさんのご厚意によりわが家へやって来たあなた。ありがとう。chosu-manmaを喜ばせようと、彼女は咲こうとしているのだ!

この未来(時)をおばさんは知っていただろうか。