chosu飯の映画評

『凶悪』 ★☆☆☆☆  

これは恐ろしい恐ろしい映画だった。繰り返される人殺し、強姦場面が恐ろしすぎる。

もう少し、フイルターをかけて撮影できないものか。全部を克明に描く必要は無いと思う。

実際にあった事件をもとにしているから、もしかすると事実はもっと恐ろしかったのかもしれない。

 

ピエール瀧氏が正に凶悪、極悪非道のヤクザを演じているが、これはとてもシラフではできない演技だったことだろう。そういえば、彼は若い頃から「薬」をやっていたことが、発覚して芸能界から追放されたのだった。

彼の風貌は、確かに凶悪犯にぴったりだ。顔がいかつく、身体もでかい。声も野太く恐ろしい。・・・しかし、彼の心は小さくて優しい。違法行為だとしりつつも、薬で気晴らしをしなければ自分を保てなかった。繊細だったのだろう。

こんなにも怖い役をやるということは、どんなに辛く苦しんだことだろうかと、推察する。監督は、役者を思うように動かせていろいろな賞も獲得できたが、彼の心のケアをやってくれたのだろうか。

それにしても、リリー・フランキーはすごい。真のサイコパスを演じたのか、彼自身にもそういう残虐性があるのか。判別できない。だが、彼は是枝監督作品では、しけた親父を絶妙に演じられるし、『野火』では卑劣な反吐が出そうな上官の役を違和感なく演じた。彼には、薬は要らないのだ。

 

ふたりはとても仲が良いというが、雑誌記者役の山田孝之も、瀧氏を支援して映画に出演を頼んでいる。

 

ピエール瀧氏のこと、chosu-manmaも好きだ。このような恐ろしい役をやったが、彼は心優しい妻子を愛するただの男。仕事として引き受けたのに過ぎない。

どうか、薬物依存症を治して、また音楽活動を再開してほしい。彼を愛する石野卓球と。

役者は辞めても良い。