新宿ピカデリーで『i-新聞記者』を観る   ★★★★★

望月衣塑子原案の映画『新聞記者』はまだ観ていないが、森達也監督が3年前から望月記者を撮り続けていた記録映画を、chosu-pampaと一緒に見に行った。期間が限定なので、いそいそと。

久しぶりの新宿は、相変わらずゴミゴミとしてドブ臭く不潔だった。

しかし、11階にあるこの映画の上映会場に集まった人々は、中高年のご婦人が多く、杖をついた人もいたが、きちんとした服装でかっこ良かった。

 

ハンディカメラで撮影したのだろうか、画面がぶれるので困惑。chosu-manmaは揺れる場面を観ていると、具合が悪くなり嘔吐、退場。となってしまったことがある。『ダンス・インザ・ダーク』『草間彌生ドキュメント』は、途中退場した。

しかし、だんだん慣れてきて、望月氏のマシンガントークもじょじょに聴き取れるようになり最後まで、集中できた。

森監督の『A』もそうだったが、演出なしでありのままに一人の人物を撮影し続けて、望月氏の新聞記者としての活躍部分を切り取り編集したという作品だが、このように深く心を揺さぶられるとは、驚いた。

月氏が、自ら取り上げる取材対象は辺野古埋め立て、宮古島の弾薬庫建設、詩織さんセクハラ事件、前川喜平氏スキャンダル、籠池夫婦・・・・・・。

伊藤詩織さんが、安倍首相を絶賛する本を書いた男にレイプされたのだが、その事実を、勇気を持って証拠を集めて裁判に臨んだのに、逮捕予定当日に当局が彼を無罪放免としていたことには、びっくり仰天した。

籠池夫妻も、「みせしめ」として安倍首相に逆らったことで逮捕され、ブタ箱に入れられたのだと、どら焼きを食べながら話していたが、まさにその通りだろう。

小学校建設のために国有地を安く払い下げたが、その書類を改ざんさせられた、職員は自殺している。権力者の言うことを聞かないものは、抹殺される!なんと恐ろしいことだろうか。しかし、安部氏の周囲はお友達でいっぱい。日本会議の人々で内閣は固められているから、誰も彼に逆らわず安泰だ。彼を正す人は、どこにもいない。

NHKもいつからか、恫喝されたからか公平な報道をしなくなった。

 

有権者は、何故かそういう安倍首相が好きな人が多い。選挙で自民党が勝ち続けるのが、わたくしには、まったく解せない。なんと、安部一強独裁を支持しているのは、国民だ!

 

月氏がガラガラとキャリーバッグを引きながら、コートや大きなバッグを持ってタクシーから降りるや、力強く歩き始める。取材先を尋ねて、小さなアパートの階段を上る。会えなくても、次に行く。足取りは軽い。

大きな口を開けて、彼女は食事する。

ハンバーガーやソーキそばにのっている豚足にかぶりつく場面。力強くて、頼もしい。その健康そうな食欲が素晴らしい。

 

国会での記者会見の様子は、絶対に森氏の撮影が許されなかったが、音声を聴くだけでも、非常におかしいと思った。

望月記者が疑問に思ったことを尋ねることを、あからさまに拒否して、菅氏の直属の部下が彼女の発言中にかぶせて妨害をしてくるのだ。まず、最後まで人の話を聞いた上で、答えなければならないのに。あなたに答える必要はない。事実に基づかない質問をするな。と菅義偉官房長官は、しゃあしゃあとしている。恥ずかしくないのだろうか。あるいは、何か怖いのだろうか。

また、他の新聞記者も望月氏に賛同して支援活動をしたようだが、彼らももっと自由に質問するべきだ。予め質問用紙を渡しておいて、答えを聴くというのは日本だけのやり方だそうだ。望月氏が「わからないから、教えてくれ」と尋ねるのは、全く当然のこと。他の記者たちが菅氏に嫌われるのを恐れて、忖度した質問だけをしているのだとしたら、一体どうやって権力の濫用を見つけ、正すことができるだろうか。いや、わかった上で提灯記事ばかりを国民に報知しているのか。

まるで、大本営発表となってしまうぞ。

森氏が最後に語っているが、大勢が同じことを言い、支持するのは恐ろしい結果に繋がりかねない。ひとりで、自分の意志が自由に表現できることが民主主義だ、望月氏の言動は極ふつうのコトだ。

私も、賛同する。

最後に、丸川氏の選挙応援に来た菅氏と望月氏が対峙する場面があった望月氏の眼差しは、凛として怖いくらい静かだった。

iは、衣塑子の頭文字でもあり、一人称「私は」でもある。小文字なのは、小さな私ということなのか。良い題名だ。