ちょス飯の映画評

午前10時の映画会 『ダンス・ウイズ・ウルヴズ』  ★★★★★ 1990年 アメリカ 監督・主演 ケビン・コスナー 日本公開は1991年

 

29年ぶりに映画観で、この映画を再び見ることができた。

10年間続いた『午前10時の映画会』がもうすぐ終わる。名画と言われている映画も、今日では超安い値段のDVD、ビデオ、ネット上の電磁記録配信として買うことができるが、やはり大画面の銀幕に映写されたものを、他人とともに見ることには、意義がある。

 

公開当時は、幼子と一緒に行ったので、落ち着いて観られなかったが、還暦過ぎた夫婦で見に行くと、心穏やかに堪能することができた。

 

当時と同じところで涙が溢れた。

ハリウッド映画ではそれまで、白人がいいもので、インディアン(ネイティブアメリカンピーポー)は、野蛮で悪役として描かれていた。

言葉が通じないもの同士は、どうやって心を通じ合わせていくのか。

ゆっくりゆっくりとこの映画では、それが描かれている。だが、3時間余の上映時間は、とても短く感じられた・

文明人、開拓民と呼ばれる人々は、自分たちにとって、未開の地を「神の与えたもう他土地」であると決め、以前からそこに住んで来た人々の文明を知らなかった。彼らが、いかに、心豊かな自然と共生する暮らしをしてきたかを。

アイヌ民族に対する和人の為してきたことと、アメリカ大陸における白人の為してきたことは、全く同じだろう。

「話せば分かる」というが、人は人と初めて会ったとき、相手の話を聞こうとしないですぐに殺してしまう。疑心暗鬼で自分が殺されないためだとも言えるが、殺されたものの側の人々は、目には目をと復讐を始める。

結局、殺戮の連鎖が、人類の歴史なのかも知れない。

鉄砲を持つものが、持たざるものを屈服させて、スー族の抵抗は終わるが、・・・、

 

 

 

 

インディアン達と、親しくなり始めて彼らと会えない日々に、孤独を感じる主人公。その場面と、

「風になびく髪」が主人公「狼と踊る」に「お前は俺の友達だ」と叫ぶ場面は、最高だと思う。映画の名シーンの中の名シーンだ。

 

 

現在では、先住民の暮らし方は、素晴らしいものだったと共鳴する人が増えてきている。

やがて、水も食料も不足するだろう地球号。

言葉が通じない人々と、いかに理解し合えるか、助け合えるかが平和な世界の実現への鍵だ。